先日、三重県伊賀市の市立中学校で、音楽の成績が校長の指示によって改ざんされていたというニュースが報じられました。
担任が「このままでは保護者に説明しづらい」と校長に相談し、教科担当の意向を無視して評価が変えられてしまったとのことです。
教育委員会や市長も「言語道断」と強く非難し、最終的には当初の成績に戻されましたが、保護者や生徒に不信を与えたのは事実です。
成績は音楽だけの問題ではない
今回の出来事は音楽科の問題に見えますが、実際にはすべての教科に共通する課題を含んでいます。
「なぜこの成績なのか?」という疑問は、多くの保護者や生徒が抱いた経験があるはずです。
成績は進路、特に高校受験に直結するため、不透明さはそのまま不信感につながります。
絶対評価と相対評価のはざま
現在は「絶対評価」が原則とされています。到達度を基準にした評価です。
しかし実際には、学年内での分布を意識せざるを得ないのが現状です。
ある先生が「5は“これ以上できることはない”という意味。だから人数は限られる」と語ったことがあります。
表向きは絶対評価であっても、実態は暗黙の相対評価。そのギャップが保護者には伝わっていません。
観点別評価の難しさ
今の通知表は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的態度」の3観点で評価されます。
ただ、この中で特に曖昧なのが「主体的態度」です。
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授業中の積極性?
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科目への興味関心?
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提出物の有無?
判断基準がはっきりせず、先生との相性で差がついたように感じることもあり、不公平感が残ります。
成績は受験のためだけではない
保護者の多くは「内申点=受験のため」と考えがちですが、本来の成績の目的はそこではありません。
成績は「自分の学びを振り返り、次につなげるためのもの」。
高校受験に利用されるのはあくまで二次的な使われ方にすぎません。
この点を誤解したままだと、数字ばかりに目が行き、学びの本質が見えなくなってしまいます。
改善のためにできること
では、どうすれば成績をより信頼できるものにできるのでしょうか。
1. フィードバック体制の充実
数字だけでなく、具体的なコメントを必ず添える。
「どうすれば次に成績を上げられるのか」を担任や教科担当が説明できる仕組みが必要です。
2. 定量評価と定性評価を分ける
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定量評価:テストや課題など、客観的に点数化できるもの
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定性評価:授業態度や協調性など、人間性に関わる部分は文章で表す
例)
数学:テスト平均75点 → 評価4
「授業中に積極的に発言し、友達と協力して課題を解決できた」
このように分けることで、学力と人間性の両方を適切に伝えられます。
まとめ
成績の最終責任は校長にありますが、評価権限は本来、授業を行った教科担当にあります。
今回のニュースは、その原則を無視してしまったからこそ大きな問題となりました。
成績は数字をつけることが目的ではなく、子どもの成長をどう伝えるかが本質です。
数字と人間性を切り分けて評価し、改善点をフィードバックする。
そうした仕組みが整えば、保護者も納得しやすく、子どもたちも前向きに学び続けることができるでしょう。


