中学受験生の保護者の皆さまへ。
模試の結果が返ってくるたびに、つい偏差値や順位に目が行きがちではありませんか?
「偏差値が前回より下がってる…」
「このままじゃ志望校に届かないかも…」
「どこか別の学校も考えた方がいいのかな…」
そんなふうに悩む気持ち、とてもよくわかります。
でも、この時期の模試の結果の見方には、少し注意が必要です。
これからの模試、偏差値は簡単には伸びません
中学受験の世界では、小学4年生・5年生から本格的に受験勉強をしてきた子が多くいます。
そのため、模試の偏差値というのは、それまで積み重ねてきた“総合力”を反映する数字になります。
つまり、今からいくら頑張っても、
短期間で劇的に偏差値を伸ばすのは、かなり難しいということです。
これは「努力しても意味がない」という話ではありません。
逆に言えば、**“いま伸びていなくても、努力が無駄というわけではない”**ということなのです。
模試の偏差値はあくまで「今の段階での平均との距離」を測ったもの。
まだ力をつけている途中の子にとっては、自分の本当の成長が数字に出てくるのは、もう少し先になります。
着目すべきは「どこが解けるようになったか」
模試の本当の価値は、「合格可能性判定」ではありません。
見るべきなのは、「今回はどこが取れて、どこが取れなかったか」です。
特に注目してほしいのは以下のポイントです:
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基本的な問題がきちんと正解できているか
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この1ヶ月、力を入れて取り組んだ単元が得点できているか
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「これは絶対に解こう」と決めていた問題が実際に解けたか
つまり、努力の成果が結果に出ているかどうかを見てあげてください。
たとえば、算数の計算問題がいつもミスだらけだった子が、
今回しっかり見直しができて正答率が上がっていた──これは立派な成長です。
理科の知識問題で、「この単元はまだ苦手」と言っていたところが、
今回は正確に答えられていた──それも大きな前進です。
点数や偏差値に表れなくても、正解できるべき問題を確実に取れるようになってきたか。
その変化こそが、受験本番に向けた“土台の強化”なのです。
偏差値は“指標のひとつ”にすぎません
ここから秋〜冬にかけて、受験生たちは過去問演習に入っていきます。
そして最終的には、本番でどれだけ「正解すべき問題」を落とさずに解けるかが勝負になります。
極端な話をすれば、模試の偏差値が50でも、
志望校の過去問と傾向が合っていて、しっかり対策ができていれば合格できるケースもあります。
逆に、偏差値が60を超えていても、
過去問対策を怠ったり、ケアレスミスが多かったりすれば、合格を逃すこともあるのです。
だからこそ、この時期に模試を受ける意味は、
「成績の伸びを判断するため」ではなく、
**“受験本番に向けて、どんな力がついてきているかを確認するため”**と考えるのが大切です。
模試は「自分の成長に気づく場」に
模試の結果に落ち込んだり、一喜一憂するのではなく、
「前回と比べて、どこができるようになった?」
「この単元、今回はどうだった?」
と、子ども自身が自分の成長に気づける機会にしていきましょう。
保護者の方の声かけひとつで、
お子さんが「頑張ったら伸びるんだ」と実感できることもたくさんあります。
模試は、合否を占うものではなく、
“合格に近づいているかどうか”を確認するためのツールです。
偏差値だけに惑わされず、
「この1ヶ月で何ができるようになったか」
「次はどこを伸ばすか」を一緒に見つめ直していきましょう。
TIP個別指導でも、模試の結果の見方や、次に向けた勉強の仕方など、
日々の面談や学習サポートの中で丁寧に対応しています。
お子さんの成長を、数字だけで測らず、“中身”で判断する目を持つ。
それが、これから本番までを走り抜けるための、大事な視点になります。


